連載小説「潮風の行方」第四章 波乗りの想い 4話
家にたどり着いて、エンジンを切った瞬間、初めてホッと胸を撫で下ろした。この車の運転は、もう懲り懲りだと思った。 車から降りると、ボードと荷物を降ろす。海に行ったから、車庫に入れる前に洗車をしておかないと、またばあちゃ...
連載小説「潮風の行方」第三章 海洋歴史ロマン 2話
川島さんの話によると、そもそも原住日本人、つまり縄文人は、ポリネシア、ミクロネシア、東南アジアや台湾、琉球、アイヌの人々と同一の始祖を持つと言われ、環太平洋を移動して巡っていた海洋民族だと言う。 DNAからも実証はさ...
連載小説「潮風の行方」第三章 海洋歴史ロマン 3話
家に帰ると、早速パソコンを開いて日本の波乗りの歴史を調べることにした。 きっと二昔くらい前なら、学生が何か調べようと思えば本屋か図書館に行ったのだろうが、今では自宅で簡単に、しかも本屋や図書館などとは比べ物にならない...
連載小説「潮風の行方」第三章 海洋歴史ロマン 4話
「ありゃ、賢ちゃん、こんなに早くに、いったいどうしたんだい? いつもならまだ、彼女のいい夢でも見ている頃だろ?」 俺がこんな早朝に来ることなどめったにないから、ばあちゃんが驚くのも無理はない。しかし、後半の言葉が余計だ...
連載小説「潮風の行方」第三章 海洋歴史ロマン 5話
「今日はあまり、元気がないのね」 昼休み、春菜さんが声を掛けてくれた。 昼休みは、俺も職員達と一緒に、ケアワーカールームの奥の職員休憩室で休む。俺は窓の外を、生気の無い顔で眺めていた。午前中に降り出した雨が、窓を水玉...