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松下 やえ子さん
城西国際大学福祉総合学部 客員教授
一般社団法人千葉県介護福祉士会 理事
「私は、今が一番幸せだと思っています。人にやさしくする。そして、優しくしてもらったら忘れない。これが百年の人生で学んだことです。」(*詩集「百歳」P89)と、書き加えられています。
2013年1月20日、その日は私が高齢者の仲間入りをした65歳の誕生日、忘れられない日になりました。「そんなこと…」と思われるかもしれませんが、私はこうした縁(えにし)を19年間の介護職(ホームヘルパー)生活の中で、たくさん感じてきました。家族でも親戚でもなく、その方が要介護の状態にならなかったら、そして私が介護職にならなかったら、決して出会うことの無かった不思議な「ご縁」をいただいて、ときにはその方の人生の最終章に、また様々な人生の場面で、お一人おひとりの「いのち」に向かい合いながら、私自身が成長させていただいたのです。私の心の糧となったものは、トヨさんの詩にもある利用者からの「真実のやさしさ」、「笑顔」そして「承認のメッセージ」でした。
「40歳からの顔(表情)は、自らの責任」と言われますが、私は「自分の笑顔はたくさんの利用者からの贈り物である」と思っています。もちろん、顔の輪郭は父母のDNAを受け継いでいるものですから、そう簡単に変えることはできません。しかし、私の表情は利用者とともに喜んだり、悲しんだりといった、介護の仕事を通して創り上げられた「利用者からの贈り物」です。ですから、皆さまが何と言おうと、私にとっては「たからもの」なのです。元来、根暗な性格の私でしたが、この表情のおかげで、人生の後半はどれほど得をさせて頂いていることか・・・。嘘だと思う方は、是非、5年位介護職をやってみてください。きっと、真実だとわかっていただけることでしょう!
介護は、生活支援の側面から利用者の「いのち」を護る仕事です。昔から「十人十色」と言われるように、生活は一人ひとりの生活習慣や価値観によって築き上げられており、個別性が高いものです。したがって、生活支援は、利用者の生活全体を視野に入れて実践しなければなりません。
よく、「介護はアートである」と言われます。私にはアートの深いところはわかりませんが、創造性という意味では共通性があると思います。利用者に最も適切なケアを組み立て、提案して実践していく。支援者のケアの技量は、結果として現れて来ます。これもアートに通じるところではないでしょうか。利用者の「しあわせ」に向かって、創造性を働かせて知恵を出していく仕事って、すばらしいと思いませんか。
私は2年前から、EPAベトナム介護福祉士候補者の専門教育に携わらせて頂く機会を得て、改めて日本の介護文化に気づかせてもらいました。今、急ピッチで高齢化が進展する中国をはじめとした東アジアの国々は、日本の介護に強い関心を寄せています。 ホスピタリティと科学的根拠を持った「日本の介護文化」を東アジアに輸出する時期にも来ています。胸を張って、「がんばろう!日本の介護」
辛いとき、悲しいとき、疲れたとき、そしてうれしいとき、赤マル福祉「がんばろう!日本の介護」を覗いて元気になりましょう!